災害が発生した時、ペットの飼い主はどのように行動するべきなのかを正しく知ってもらうため、過去2回にわたり飼い主の役割や、国・自治体の役割について紹介してきました。他にもペット支援には、動物の専門家の協力も必要不可欠です。ペットが怪我をしてしまった時はもちろん、ペットの救護には、地方獣医師会が大きく貢献しています。今回は被災時に頼れる存在、地方獣医師会の役割についてお伝えしていきます。

災害時における、国や自治体の役割

地方獣医師会は、自治体や関係団体と連携し、(公社)日本獣医師会が作成した「災害時動物救護の地域活動マニュアル策定のガイドライン」(改定作業中)を参考に、各地方獣医師会が作成する災害対策に関する計画やマニュアルなどに沿って協力や支援をしています。

大きな災害に見舞われたときには、自治体が人の救護などに忙殺され、ペットへの対応などができない場合があります。そのため、地方獣医師会が現地動物救護本部等の構成団体の場合には、積極的に救護本部の設置に努めることが望ましく、本部の設置後は構成団体として救護活動などを行います。また地方獣医師会は、避難所などにおけるペットの治療、健康管理に関する飼い主からの相談の受付など、被災地での獣医療に関わる支援を担っています。

もちろん、獣医師自身が被災して十分な支援が行えない場合も考えられます。そのような状況を想定し、平常時から、近隣の地方獣医師会と災害時の連携などについて、検討しておくことが望まれています。各獣医師会によっては災害時のマニュアルや活動について、ホームページなどで説明しているところも多くありますので、日頃から情報を集めておくことも重要です。

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  地方獣医師会が行う活動内容の例

  平常時

  • 災害に備えたペットの健康管理などに関する飼い主への啓発
  • 動物由来感染症対策
  • ペットの同行避難も含めた避難訓練への協力
  • 協力が可能な動物病院や獣医師のデータベースの作成
  • 自治体や近隣地方獣医師会との災害時の協定に係る調整

  災害時

  • 都道府県等が実施する動物救護活動への協力
  • 動物由来感染症の防疫と予防
  • 現地動物救護本部等を設置した際に、本部構成団体として自治体と連携して動物救護活動を実施
  • 避難所などへの獣医師の派遣と避難動物の健康管理、公衆衛生対策に係る支援
  • 飼養困難なペットの一時預かりや譲渡の支援
  • 負傷動物などの治療や保管
  • 近隣地方獣医師会への支援要請(人材派遣、一時預かり、譲渡など)

• 出典

  「人とペットの災害対策ガイドライン」（環境省）　P.21-22
  【平常時と災害時におけるそれぞれの役割（自治体の役割、国の役割）】を加工して作成

  https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3002/0-full.pdf