飼い主の役割と自治体の役割④自治体と連携する各団体・企業などの役割
豆知識
これまで3回にわたり、発災時の飼い主や自治体の役割についてご紹介してきました。ですが、災害が発生した時には公的な団体だけではなく、民間団体や企業、現地動物救護本部、一般財団法人ペット災害対策推進協会(ペット災対協)など、様々な組織がペット災害支援に携わっています。もしもの時に戸惑うことのないよう、各団体がどのような活動を行っているのかを知り、災害時に備えておきましょう。
1. 民間団体・民間企業等の役割
■民間団体
動物愛護団体をはじめとした動物に関連した民間の団体のこと。平常時から所在地の自治体等と協力関係を築き、災害時に自治体等が必要とする支援や協力をすることが望ましいとされています。現地動物救護本部等の構成団体になっている場合などは、自治体や地方獣医師会等の要請のもとで、支援や協力を行います。
■民間企業
主に動物取扱業者やペット用品販売業者、ペット用医薬品販売業者やその他、ペット産業に関連した業界団体等のことを指します。自治体等が平常時から検討するペット用品などの備蓄や、人材派遣に協力します。
また、自治体や地方獣医師会、現地動物救護本部等が必要とする獣医師や動物看護師、ドッグトレーナー、トリマーなど、動物の専門的知識や技術を有する人材派遣への協力や、必要な救援物資の供給などを平常時から検討しておくことが望ましいとされています。
2. 現地動物救護本部等の役割
自治体や地方獣医師会、民間団体などで構成された、災害時に被災地で緊急対応として動物救護活動を担う組織です。 平常時から体制を整備して、災害発生時の本部の設置のタイミングや活動の在り方を、関係機関や団体の間であらかじめ定めておくことで、発災直後に迅速な活動が開始でき、円滑な被災者支援に結びつけることができます。
災害の発生時には、自治体や地方獣医師会等は現地動物救護本部等の設置の必要性を判断し、本部を設置する場合は構成団体や機関と調整して、飼い主支援や動物救護活動などをするための活動を行います。
※ 平常時に現地動物救護本部等の設置のタイミングが合意されている場合はその合意のタイミングによって、本部等が設置されます。
3. 一般財団法人 ペット災害対策推進協会 (ペット災対協)の役割
(一財)ペット災害対策推進協会は、(公財)日本動物愛護協会、(公社) 日本愛玩動物協会、(公社)日本獣医師会の3団体等から構成され、大規模災害が起こった際などに地方自治体等の支援を行う団体です。主に、現地動物救護本部等や被災地の自治体を人材、物資、資金の面から支援します。
このように災害支援は、各自治体と連携してさまざまな組織や団体が活動を行っています。非常時には不安な気持ちがいっぱいで、混乱してしまうことも多いかもしれません。そうした場合でも、自身が住んでいる自治体の支援や対策内容、組織について知っておけば、スムーズに救助を求めることに繋がります。他人事と思わず、自分の命と大切なペットを守るためにどのように行動するか、どういった支援があるのかを日頃から学び、考えておきましょう。
各団体の活動内容については、下記で詳しくおまとめしますので、ぜひご一読ください。
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民間団体が行う支援や協力の例
平常時
- 災害に備えたペットの適正な飼養などについての、飼い主への普及啓発への協力
- ペットの同行避難も含めた避難訓練への協力
- ペット災対協などの他の民間団体との協力関係の構築
災害時
- 救援物資の配布協力
- ペットの一時保管先や避難所、応急仮設住宅でのペットの飼養管理の支援
- 所有権が放棄されたペットの新しい飼い主探しへの協力
- ボランティアの管理などへの協力
- その他、自治体等が必要とする支援への協力
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民間企業等が行う主な支援や協力の例
平常時
- ペット用品などの災害支援準備(備蓄など)
- 地元自治体や地方獣医師会等との連携と協力
- 災害の発生に備えた動物取扱業者同士の連携や協力体制づくり
災害時
- ペット用品などの提供
- 専門的な人材の派遣や機材、車両などの提供による技術や動物輸送
- 被災した動物取扱業者等が管理する動物の移動や保管などへの協力と互助
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現地動物救護本部等が行う活動内容の例
平常時
- 現地動物救護本部等の組織体制の検討(本部長などの役職や活動での役割分担など)
- 設置要綱や活動規定等の準備(本部設置のタイミングや活動内容など)
- 義援金の受入れ口座等の準備
- 構成団体間の連絡体制の整備
災害時
- 情報収集と関係機関への連絡、広報活動(ペット災対協への支援要請と調整を含む)
- 物資の調達と配布
- ボランティアの確保・配置・管理
- 義援金の募集と活用
- 避難所や応急仮設住宅でのペットの受入れに関わる市区町村への要請
- 避難所や応急仮設住宅でのペットの飼養・管理の支援
- 相談窓口の設置
- 保護が必要な動物への対応
- 動物救護施設の設置や運営
- 被災ペットの治療や一時預り、譲渡などに係る、動物病院への協力要請
- 人材や物資、活動資金、技術支援、情報提供の要請
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ペット災対協が行う活動内容
平常時
- 環境省などの関係行政機関や民間団体・民間企業等との連携
- 既に組織化されている現地動物救護本部等や都道府県、地方獣医師会等との連携や協力協定の締結
- 都道府県、市区町村への情報提供
- 市区町村に対する避難所での動物飼養に対する助言
- 飼い主に対する同行避難や避難所でのペットの適正な飼養管理などに関する啓発
- ペット災対協の協力団体との物資支援に関する調整(支援リストの作成、災害時の送付方法など)
- 動物救護活動協力団体・施設のリスト作成、動物救護活動に関する 研修(ボランティア、動物病院、動物取扱業者、ペットと泊まれる ホテルなど)
- 動物救護活動ボランティア指導者の育成
災害時
- 情報収集と現地調査
- 環境省などの関係行政機関、被災地自治体や現地動物救護本部等、協力団体などとの連絡調整、活動に関する協力や支援
- 現地動物救護本部等の組織化と活動への支援
- ボランティア指導者の派遣、支援物資の送付調整
- 動物救護活動協力団体や施設リストの提供
- 義援金の募集代行(現地本部の口座が開設されていない場合)、海外からの支援の窓口
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出典
「人とペットの災害対策ガイドライン」(環境省) P.22-26
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3002/0-full.pdf
【平常時と災害時におけるそれぞれの役割(自治体の役割、国の役割)】を加工して作成