りく・なつ防災コラム

災害が起こった時、自治体には頼れる?①災害発生時の初期対応

豆知識

発災時に重要なのはまずは「自助」、次いで「共助」が基本だとされており、大規模災害では、発生直後の「公助」に大きな役割を期待することが難しい場合も多くあります。であれば、実際に災害が怒った時は自治体に頼ることはできないのか、と不安になるかもしれません。

今回は、災害発生時における自治体の初期対応について見ていきたいと思います。

 

災害発生時の初期対応(発災当日~翌日)

(1)避難者対応(避難の誘導・呼びかけ)

避難指示が出された際、都道府県などは避難を誘導する市区町村の担当部署と連携して、ペットの飼い主に対して、人間の安全を確保した上で、ペットを連れて避難行動をとるように呼びかけます。

避難行動の原則は、飼い主の安全を確保した上での同行避難。 ただし、堅牢な建物などである場合、在宅避難を推奨している自治体もあるので、避難の呼びかけがどのように行われているか、注意深く確認する必要があります。

また、飼い主が外出中でペットと離れている場合や、ペットが逃げだして見つからないなど同行避難が困難な場合には、飼い主の安全を確保するため、ペットを同行することよりも、飼い主が避難することを優先するように呼びかけられます。ペットがとても心配になるかとは思いますが、このような時には、自治体の指示に従うようにしましょう。

 

(2)被害状況の把握

初動では被災者の救出や救助活動を最優先に活動しますが、以後のペットの災害対策を見据えて、状況を把握をするよう努めています。それとともに、協定の締結先や国・ 市区町村など関係団体との連絡体制を確保しています。情報収集などは自治体がもっとも正確なことが多いため、噂などに惑わされず、一次情報を確認するようにしてください。

 

(3)現地動物救護本部等の設置の検討

災害が発生した際には、災害の規模や被災状況などを考慮し、自治体や地方獣医師会等が現地動物救護本部等の設置の要否を判断します。平常時の申し合わせによって現地動物救護本部等を設置した場合は、自治体や現地動物救護本部等の長は、すばやく構成団体に連絡を行い、初動要員の確保などの要請を行います。各構成団体は、各団体と連携し、あらかじめ定めておいた各団体の役割に沿って動物救護活動に当たるようになります、被災状況により構成団体による要員の確保が困難な場合には、災害時相互応援協定の締結先等に要請し、要員を確保しています。

 

(4)飼い主(ペットの飼養者)への支援

飼い主とペットの安全を確保するため、自宅が危険だと判断して避難所に避難した時には、避難所にすみやかに受け入れてもらえるよう、市区町村の担当者を介して誘導されます。怪我をした動物に対しては、現地動物救護本部等の支援活動として、獣医療の提供もあります。また、一般的な飼養用品は、支援物資として提供してくれます。ただし医薬品や特別食などの入手が難しいものについては、平常時に準備しておく必要がありますので気をつけましょう。
避難所での飼養が困難な場合や、飼い主の体調が崩れ入院の必要などが生じた場合には、一時預かりなどの支援を行ってくれます。

 

(5)放浪ペットへの対応

飼い主とはぐれたり、自宅から逃げ出してしまったペットの保護や返還についても対応しています。
発災直後に自治体が収容した放浪動物などの保管先がない場合は、 保健所や動物救援本部の構成団体(地方獣医師会や動物愛護団体)などが、一時的に預かってくれることもあります。

このように、発災直後から自治体では人間はもちろん、ペットの災害対策についても考えられています。災害対策の基本が「自助」というのは、自分でできる部分はしっかりと対応するということで、ペットが怪我をしたり逃げてしまったり、また、飼い主自身の安全が確保されない場合などは、無理せず自治体を頼ることが大切です。

自分とペットの命を守るため、最善の行動が取れるように、日頃から発災時の動きについて確認をしておきましょう。

以下に各県の事例もまとめていますので、ぜひ併せてお読みください。

  • 仙台市の避難者対応

    仙台市では「仙台市避難所運営マニュアル 活動編」を作成し、災害発生時の避難から避難所運営にかけての基本的な流れを示しています。
    これは、市民アンケートをはじめ実際に運営に携わった地域の方々や避難所の施設関係者の方々からの声を基に、避難所に集まる全ての方が共有するマニュアルとして作成されました。

     

    このマニュアルには、災害発生初期の対応として、声がけや安否確認 など地域での助け合い(共助)を行うとともに、市職員や地域団体(町内会など)、避難施設管理職員などは、率先して避難者に呼びかけることとしています。

     

    また、避難所運営にあたり、ペットスペースの確保やルールの周知など、ペット連れ避難者への対応についても記載されています。

     

    避難所運営マニュアル|仙台市
    https://www.city.sendai.jp/kekaku/kurashi/anzen/saigaitaisaku/hinanjo/une.html

  • 熊本市の一時預かり支援

    熊本市では、入院などでやむを得ず避難所での飼養が困難になった飼い主への緊急対応として、協力機関でのペットの一時預かりを実施しました。

     

    一時預かりは、熊本市動物愛護センターを通じて受け入れ対応を行い、協力機関が飼養していました。

     

    被災者の犬猫、入院時に無償で一時預かり 熊本市 | 犬・猫との幸せな暮らしのためのペット情報サイト「sippo」
    https://sippo.asahi.com/article/10561549

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